鳥獣保護法の改正案が、2014年3月に閣議決定、4月18日に衆院環境委員会で全員一致により可決。5月23日、参院で可決。成立した。
この法律の主務官庁は環境省で、日本国内における鳥獣の保護と狩猟の適正化を図る目的の法律である。
本法の前身は、1895年(明治28年)の(旧)狩猟法及び1918年(大正7年)に施行され改正が続けられてきた「鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律」である。
日本各地に生息するシカやイノシシは、近年、狩猟人口の減少や中山間地の過疎化に伴い、生息数・生息域とも拡大傾向にある。
農作物が食べ荒らされたり、多くの樹木や高山植物など生態系が壊されたりする被害が各地で出ている。
北海道のエゾシカに関しても、明治時代の乱獲の反省による狩猟の規制により長らく保護され続けてきた結果、90年代以降に個体数の急激な増加となり、農作物被害や交通事故などの人間とのあつれきが解消されていないのことは周知の事実である。
これらの事情を踏まえ、この法律も時代の変遷とともに有害鳥獣の狩猟を積極的に推進する具体的なものとなっている。
主な改正内容は
① 野生生物の保護だけでなく、生息数を適正規模に減少させる「管理」を同法の目的に追加する。
(野生鳥獣行政は保護から捕獲へと移行する。法律の正式名称も「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律」から「鳥獣の保護及び管
理並びに狩猟の適正化に関する法律」に改称する。)
② 鳥獣の捕獲を専門に行う事業者の認定制度を設け、安全が確保される場合には夜間でも猟銃を使った狩猟を認める。
(一定の技能を持ち、適切な安全管理ができる捕獲の専門事業者を都道府県知事が認定する制度を創設する。個人では難しい技術を使っ
た効率的な捕獲を促すため。認定事業者は自治体の委託を受けて、捕獲事業を実施することになる。)
③網やわなを使った狩猟の免許を取得できる年齢を20歳から18歳に引き下げる。
(ハンターの高齢化が進んでおり、捕獲が十分にできない地域も出てきている。
若手の捕獲従事者を育成するため、わな猟と網猟の免許取得年齢を引き下げる。
この改正により、北海道で深刻な問題となっているエゾシカの個体数を減少させる実効性を伴った対策が可能となり、例えば警備会社などの事業者が認定されれば狩猟することが可能となる。
この法律の公布後、北海道のエゾシカの狩猟に関しても大きく様変わりするものと思われる。(東野剛巳)
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