北海道エゾシカ対策推進条例が2014年3月20日に成立。4月1日から施行されている。
内容は、増えすぎたエゾシカで道内の農業被害が63億円に上る中、エゾシカを道民共有の財産ととらえ、頭数管理、食や観光などで有効活用し、人とエゾシカとの適切な関係を築こうというもの。野生鳥獣について頭数管理や有効利用に関する条例は全国初だという。効果的な駆除と活用が期待できそうである。
注目されているのは国の天然記念物オジロワシ、オオワシなどの希少鳥類を鉛中毒死から守るため、鉛弾の所持を禁止したこと(第18条)。鉛弾の使用はこれまでも「鳥獣保護法」で禁止されてきたが、「所持」にまで踏み込んだのは、これまた全国初というから北海道の快挙と言えそうだ。しかも、違反したハンターには、3月以下の懲役又は30万円以下の罰金を科すという。罰則の適用開始は2014年10月1日から。
※鉛中毒死とは、射殺されたエゾシカ等の死骸に残っている鉛弾を鳥類が 飲み込むと、体内の胃酸で鉛が有毒化。神経が侵され、運動能力が低下。餌が取れなくなることで衰弱、貧血、呼吸不全等を引き起こし、やがて死に至ること。 |
エゾシカ対策にあたっては、「道の責務」は勿論のこと、「道民等の役割」が努力義務としてあることを知っておかなければならない。他人事ではないことを重く受け止めたい。
第5条 道民、市町村及び民間の団体は、エゾシカ対策に対する理解を深めると
ともに、道が実施するエゾシカ対策に協力するよう努めるものとする。
第11条 道は、国、市町村、事業者及び民間の団体と連携協力して、食関連分野、観光分野においてエゾシカが有する多面的な価値を有
効活用するために必要な措置を講ずるものとする。
人とエゾシカ、恒久的に適切な関係を保つためには、終わりのない活動が引き継がれていくことが望まれる。
(参考)鉛中毒について(北海道庁資料)
公益社団法人 札幌消費者協会「北海道エゾシカ倶楽部」 代表 武田佳世子
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