北海道 環境生活部 環境局エゾシカ対策課主査 山田浩二氏と主任の名畑太智氏のお二人を講師に「エゾシカの有効活用について」お話を伺いました。
1.エゾシカの食肉処理状況
○H25年度の捕獲頭数
13.2万頭。そのうち、約16%が食肉として道内外道外に流通しており、ここ数年は増加傾向にある。自家消費は含まれていない。狩猟による捕獲頭数は、4.5万頭となっており、ハンターからは「シカが獲りにくくなった」との話も聞こえてくる。エゾシカが学習している可能性もある。
ハンター自家消費59,100(59.1%)
ペットフード・事業用300(0.3%)
食肉処理施設へ売却13,200(13.2%)
廃棄物処理施設9,800(9.8%)
現地埋設17,300(17.3%)
その他300(0.3%)
未利用エゾシカ頭数27.1%
*4頭に1頭は何もせずに捨てられている。
「*北海道経済部資料(H23.3)より」
2.エゾシカ肉の特徴
○天然食材(旬は秋から冬)
○優れた栄養特性(ペットフードでも人気)
高タンパク・低カロリー・低脂肪・鉄分豊富とヘルシーな食材)
○欧米では高級食材
昨年は 食に関する調査研究を実施する「ぐるなび総研」が 「今年の一皿」に選定するなど、日本でも人気が高まりつつある)
*一般的には、冬を乗り越えるため脂肪を蓄える秋から冬が旬と言われ、春先の痩 せたシカは食用に向かないこともある。
●計画生産はできない
エゾシカは野生動物。急な大量注文に対応できないこともある。
山で撃ってテーブルに載るまで、当然ながら家畜とは違う経路を辿る。
●歩留まりが悪い
豚肉は1頭あたり200kg。シカ肉は1頭当たり20~30kgに留まる。
●昔からの悪いイメージがある→ 臭い・固い・汚い
しかし、これは昔の話。現在は血抜き等の技術も確立され、肉の処理加工が飛躍的に
進化している。
*若い人には先入観が無い。9割以上の人は「美味しい」との評価。
3、エゾシカ肉の安全確保
○家畜の場合、「と畜場法」で獣医によると畜検査が義務付けられている。エゾシカなどの野生動物は対象外。
○エゾシカの衛生的な処理に向け、北海道では、平成18年に全国に先駆けて「エゾシカ衛生処理マニュアル」を策定。
○衛生管理状況を評価する北海道独自の認証制度を導入。
❶(一社)エゾシカ協会による「エゾシカ肉認証」制度
・「衛生処理マニュアル」に基づく適正な処理状況の現地確認と協会の独自基準を満たした施設を認証。
「認証食肉処理施設数」21年度末 6施設→25年度末14施設
・エゾシカ肉の消費拡大に伴い、加工食品の利用も増加したことから、その認証制度も新たに創設。
「認証食肉加工食品」 25年度末 6施設
❷北海道HACCP自主衛生管理認証制度
HACCPによる衛生管理の実施状況を民間コンサルタントまたは保健所が認証・評価。
「認証・評価取得施設」 21年度末0施設→25年度末6施設
○北海道独自のエゾシカ検査モデル事業の実施
エゾシカ肉の更なる安全性向上に向けて、牛・豚と同様に、獣医師が処理の現場でエゾシカの個体の異常の有無を確認する北海道独自
の「エゾシカ検査」をモデル事業として試行。
4)北海道の取り組み
○ シカの日…毎月第4火曜日を「シ(4)カ(火)の日」に設定。
○「シカの日」参加店登録制度の創設
認証施設で処理されたシカ肉を「シカの日」に販売・調理する店舗を登録する制度
【参加店数の増加】
H22.10 25店
H23.3 61店
H24.3 221店
H25.3 239店
H26.3 249店
○エゾシカウイーク
雪まつり期間中を「エゾシカウイーク」と設定・参加店を募集→国内外の観光客にエゾシカ肉料理
提供。H24までは、札幌のシカの日参加店のみ。今年からは全道版に拡大!H25は102店舗が参加。
公益社団法人 札幌消費者協会「北海道エゾシカ倶楽部」 代表 武田佳世子
060-0808 札幌市北8条西3丁目 札幌エルプラザ2階
TEL :011-728-8300 / FAX 011-728-8301 E-mail:ezoshika_club@yahoo.co.jp