■購入した革は三方から撃たれていました(2016.4.17)
倶楽部の打ち合わせに,革の専門家である菊地隆氏(エゾプロダクトの代表取締役)が特別参加。思いがけなく、購入したシカ革のレクチャーを受けることが出来ました。
説明によると、この革は三方向から銃弾を受けていました。小さな穴と大きな穴は弾が当たって突き抜けた場所です。これが3セットありました。追い込み猟で捕獲されたと考えられます。ただし、生皮はコンディションにより、腐敗箇所があった場合、鞣しの行程中に溶けて穴になる場合もあるとのことでした。
同じ一枚革でも、肩、背中、お腹など、部位により強度や厚みが異なる。
①サイド
厚みと強度がある。
感触、風合いなど質感が均一。
②ショルダー
少し薄手。傷もある。
質感も均一ではない。
③ベリー
薄手。強度もない。
柔らかく伸びやすい ため、歪み、変形など
の原因になりやすい。
■ヌメ革
私たちが購入した革はヌメ革です。
ヌメ革とは植物の渋(シブ)に含まれる成分のタンニンで鞣しただけで、表面加工されていない皮革。特徴は丈夫さ。日光や熱で日焼けしたり、使う人の手の脂が浸み込むことで変色しやすいが、この経年変化こそが本革ならではの魅力。使い続けるほどに味わいが増し、強度としなやかさに優れた天然素材。鞣しに時間がかるため、製品は高価。
■野生動物革の難しさについて革の物流
野生動物の革は製品が安定しにくく流通が難しい
皮の品質は畜産種のものが良好。赤ちゃんの時から人の手で育てられるので傷等がないため。
日本の場合は、野生のシカを途中から養鹿する一時養鹿。無傷とはいかない。
国内に流通する98%は海外(NZ、中国、フインランド…)からの輸入(畜産種)。
<付記>菊地隆氏のエゾシカ講座から(於:北海道消費者協会 2016.2.25)
〇革は大きくスタンダードレザーとエキゾチックレザーに分類される。
1、スタンダードレザー
牛・豚・羊・ヤギなど家畜である動物から肉の副産物として採取される皮。
2、エキゾチックレザー
ワニ・蛇・トカゲ・ダチョウなど特殊な動物から採取する皮。
ワニはバッグになるために、蛇はお財布になるために・・・これらの動物は養殖されているので傷はない。その代り高額である。
さて、エゾシカは傷が多いことが難点。現在、市販されているシカ革製品の原皮は輸入されているものが殆ど。輸入先はフィンランド、ニュー
ジーランド、オーストラリア、中国等。
ただし、エゾシカ皮革は、しなやか、洗える、丈夫、目が細かい、硬くならない、通気性が良く乾きが早いといった特性を持った魅力ある素材。いま、北海道で年に13万頭も捕獲されている野生エゾシカ達の原皮は、現在「5%」しか流通していないのが現状。残りは廃棄されているわけで国にとっても大きな資源の損失である。
公益社団法人 札幌消費者協会「北海道エゾシカ倶楽部」 代表 武田佳世子
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