第4回エゾシカフェスタ続報(2016.10.08)



主催:(一社)北海道消費者協会(公社)札幌消費者協会、えぞしか共和国

共催:(公財)北海道新聞野生生物基金、北海道新聞社、北海道教育大学釧路校 

後援 北海道、北海道教育員会 

協力 

生活協同組合コープさっぽろ、西興部村養鹿研究会、合同会社エゾプロダクト


【常設展示】

・野生生物の生態がわかる展示(出展:酪農学園大学)

・野生生物に関する書籍の販売

・エゾシカ革製品の販売(出展:合同会社エゾプロダクト)

・(公社)札幌消費者協会北海道エゾシカ倶楽部の紹介・出展 

・エゾシカ関連パネル展示(協力:北海道環境生活部環境局エゾシカ対策課



開催挨拶

挨拶:矢島 収(一社)北海道消費者協会専務理事

縄文太鼓の演奏披露

   ソロ:石田しろ(ジャンべ・縄文太鼓演奏家) 

   合奏:石田しろ、澤口 勝、佐藤夕香、山本祥人、川村怜子、井尻哲男

基調講演「エゾシカと共存する社会の姿」

   講師:近藤誠司(一社)エゾシカ協会会長

研究発表「エゾシカを題材とした実践報告」

 発表:北海道教育大学釧路校(堀口純平、竹嶋モニカ、寺島 蘭、鎌田教授)

    北海道標茶高等学校(倉内 渚、中村早緒理、川端教諭


昼食(エゾシカ料理の提供

   メニュー:ロースト森林風、彩り野菜と中華炒め、スープ、ライス

   エゾシカ肉提供:生活協同組合コープさっぽろ、西興部村養鹿研究会

パネルディスカッション「エゾシカの有効活用の現状と課題」

 コーディネーター:小川 巌(エコ・ネットワーク代表)

 パネリスト:渡邉武夫(生活協同組合コープさっぽろ生鮮本部畜産部部長)

       田尾忠夫(西興部村養鹿研究会事務局長)

       菊地 隆(合同会社エゾプロダクト代表取締役)

       黒田尚子(北海道環境生活部環境局エゾシカ対策課主幹) 

来場者からの感想 :谷 一之(下川町町長)

閉会挨拶

  挨拶:髙橋幸一(公社)札幌消費者協会会長





オープニングセレモニーとして、北海道ならではのエゾシカ皮を張った道産の新たな楽器「縄文太鼓」の演奏を披露。奏者の石田しろ氏は2012年9月より、ジャンベ・縄文太鼓演奏家である茂呂剛伸氏に師事。「縄文太鼓の演奏と制作」を通し、北海道から世界に向けて北海道の縄文芸術や文化の素晴らしさを発信する活動を行っている。道新文化センター西アフリカの太鼓ジャンベの講師も務める。



「エゾシカと共存する社会の姿」と題し、基調講演を行った。講師は(一社)エゾシカ協会会長 近藤誠司氏。専門家の立場から、エゾシカの諸問題について解説していただき、エゾシカと共存する社会についてのご提言を頂いた。氏は北海道大学総合博物館資料部研究員(名誉教授)・北海道大学大学院農学研究科元教授。

【プロフィール】 

畜牧体系学(Animal_Production_System)研究室元教授、専門は大型草食動物(ウシ、ウマ、シカ)の生産システムに関する研究。バックグラウンドは家畜行動学。


北海道教育大学釧路校の皆さん
北海道教育大学釧路校の皆さん

 「エゾシカを題材とした実践報告」と題し、エゾシカに関する講義や授業を通して学んだことについて研究発表を行った。北海道教育大学釧路校(学生3名、引率教授1名)は、「エゾシカの地産地消モデル構築のために」と題し、これまでエゾシカに関する資料、文献を調査、エゾシカ肉の試食を含む勉強会やエゾシカ皮の加工について体験学習を実施したことを発表。今後は、小学校を対象とした授業案を作り、北海道立消費生活センターホームページに掲載すること等を報告した。

  北海道標茶高等学校(生徒2名、引率教員1名)は「ヒトトイノチヲつなぐエゾシカレザー」と題し、授業においてエゾシカレザーレースでオリジナル皮革製品を開発したことや、学校祭で製品販売やクラフト体験を実施した等を報告。実際にクラフトのデモンストレーションを壇上で行った。


来場者へ昼食としてエゾシカ料理を提供。メニューはエゾシカ肉を食材としたロースト森林風、彩野菜と中華炒め(スープとライス付き)。エゾシカ肉は、生活協同組合コープさっぽろ、西興部村養鹿研究会から提供いただいた。また、昼食会場ではエゾシカ肉の栄養成分について(公社)札幌消費者協会のポトフの会吉田陽子チーフ(管理栄養士)が解説。縄文太鼓に触ってみる体験なども行った。




プログラム最後はパネルディスカッション。「エゾシカの有効活用の現状と課題」。コーディネーターは小川 巌氏。氏は北海道自然環境分野の第一人者として各種委員会の委員を歴任されるほか、酪農学園大学非常勤講師や札幌学院大学非常勤講師を務める。「森と海の動物たち」「森はみんなの遊び場だ」「アニマルレスキュー教本・野鳥編」などの著書がある。パネリストは生活協同組合コープさっぽろ生鮮本部畜産部部長渡邉武夫氏、西興部村養鹿研究会事務局長田尾忠夫氏、合同会社エゾプロダクト代表菊地隆氏、北海道環境生活部環境局エゾシカ対策課主幹黒田尚子氏の4名。食肉処理、加工や流通、革製品のメーカー、」また、事業者、行政、消費者といった様々な立場から現状や課題を報告、今後の有効活用について参加者とともに考えていった。


■来場者からの感想(下川町町長 谷 一之氏)


下川町でも、エゾシカが立木や農産物に多大な被害をもたらし、さらには、交通にも支障を来しているものであり、どのように処理したらよいのか日々悩んでいる。今年も、300頭以上の処理を行った。そういう意味では、今日のフェスタは大変参考になった。そこで、私なりに、3つの学んだことを皆さんと共に復唱してみたい。


①近藤会長からの話では、旧石器時代に温暖化が繰り返されたことで生態系が変化し、それによって人間の食文化に変化がもたらされ て

 きたではないかということ。 

②エゾシカ資源を余すことなく利用していくという人間の知恵が必要である。例えば、木材の活用では、「カスケード利用」という言

 葉があり、これは源を余すことなく利用していくというゼロエミッションの考え方により、連なりをもって生産していくことを意味

 しているが、まさしく、エゾシカも カスケード利用すべきだと考える。従って、今日の話題にあった商品や製品への付加価値化や高価

 値化 が求められていると感じている。

③エゾシカが食肉の中で資源として高めていくにはどうしたらよいかと問いた時、それには、先程、高校生の研究発表があったように、

 やはり、小 さいときからの食の教育が必要ではないかとつくづく感じ取った。そういう意味では、今日のような催しが、持続され、社

 会に広がることがポイン トだ。

 主催して頂いた関係者に感謝したい。


この後、ご自身が理事長を務められるNPO団体が制作した北海道市町村マップが参加者全員にプレゼントされた。マップには地名の由来(8割はアイヌ語)とその地域が誇りとする花、木、鳥などの名前が一覧となって記されている。多くの人に北海道の地理を知り、郷土愛を高めて欲しいとの理事長の思いが込められたマップである。