4月定例会では、会員の森 裕子氏がミニ講座を行いました。
テーマは「白い動物たち…アルビノと白変種」です。
1.真っ白いエゾシカ出現
2021年5月10日の北海道新聞に、4月下旬に手塩町で、全身が真っ白なエゾシカを、自然保護に携わるNPO職員が撮影したとの記事が載りました。近年の白いエゾシカの記録を調べてみました。
① 2011年4月7日、鶴居村で撮影された白いエゾシカの姿が、北海道新聞動画ニュースで配信
② 2017年5月初山別村の牧草地で目撃情報
③ 2020年4月15日北海道新聞朝刊にカラーで掲載。②と同一個体か。
④ 2020年4月初山別村でオスの個体が撮影される。
⑤ 2021年4月23日天塩町内で10頭ほど群れに、1頭の真っ白いメスが目撃、撮影される。
①2011年4月7日、鶴居村で撮影された白いエゾシカの姿
が、北海道新聞動画ニュースで配信
② 2017年5月初山別村の牧草地で目撃情報
③ 2020年4月15日北海道新聞朝刊にカラーで掲載。②と
同一個体か。
④ 2020年4月初山別村でオスの個体が撮影される。
⑤ 2021年4月23日天塩町内で10頭ほど群れに、1頭の
真っ白いメスが目撃、撮影される。
2.真っ白いエゾリス騒動
ここで思い出したのは、以前、帯広畜産大学で発見されニュースになった白いエゾリスの事でした。
帯広畜産大学で白いエゾリスが発見されたのは2017年のこと。このときはマスコミの取材に対し、当時の副学長、野生動物管理学研究室のやな川先生が「2017年春生まれの雌です。30年ほど大学にいますが、完全なアルビノのリスを見るのは初めてです。」と話し、大学の総務部が構内のマップ図を提供し、目撃しやすい場所まで教えてくれていました。
3.真っ白い動物たちと人間の関わり方
しかし、その後、大学に写真愛好家などが押しかけ、木の上にいるリスに石を投げて下におろそうとする、餌付けしようとする、巨大な望遠レンズを構え続ける、大学生に因縁を付けるなど、一部の人たちが迷惑行為をして大きなトラブルになったことが報道されました。
実は、2005年にも道民の森で白いリスの撮影に成功したことが新聞に載っていましたが、この時は稀少動物保護のためにあえて、本当の撮影場所とは別の場所を掲載した可能性があるとされていました。
これらのことは、珍しい動物と人間の関わり方の難しさ考えさせるものだと感じました。
4.アルビノと白変種
こうして調べていくと、珍しい白い動物には、アルビノと白変種という2種類があり、私のような一般人はそれを混同している事がわかりました。
① アルビノは先天性色素欠乏症の動物個体のこと。生まれつきメラニンが欠乏しており、目にも色素がないために、弱視などの視力障害を伴うことが多く、紫外線のダメージを大きく受けるなどのハンディがある。それらのことからも、アルビノの野生動物は生存することがかなり困難である。
② 白変種(リシューシスティック)は色素が少ないだけで、メラニンを生成することはできるので、体や顔の一部が黒い、目が黒い。安全な場所で生活できれば、自然交配で繁殖できる。
白変種の出現原因には諸説あるそうですが、ホッキョクグマ、ホッキョクキツネ、ハクチョウなどは、生息環境から集団の中心になっていった白変種だそうです。
5.アルビノの人たち
人間にも、アルビノの方々がいることを知りました。
アフリカの南東部、タンザニアなどでは、アルビノの人間には特別な力が宿っていると信じられており、臓器や体の一部などを売却や食用とする目的で、殺人や誘拐のターゲットにされる被害が後を絶たないそうです。なんということでしょう。
日本人にもアルビノの方々がいらっしゃいます。最近ではユーチュブで発信して理解を深めたり、アルビノの方々の交流などをされています。もちろん、アンザニアのような被害には遭われていませんが、視力や紫外線に弱いことで様々な生きづらさをかかえていらっしゃるので、周囲の理解が必要です。
6.特別な命が普通に生きられますように
2018年11月9日には、日本で「東京アルビニズム会議」が開かれたそうですが、日本人はもちろん、世界中のアルビノの方々が平穏に暮らせるような社会であるべきです。そして動物たちも!!
近年は、アフリカの保護区に生息していた白いキリンの親子が密猟者によって殺害されたという報道がありました。許されない行為です。
珍しい白い動物たちが、身勝手な人間の行為で命や生活が脅かされる事がないように、みんなで考えていきたいと思います。