平成30年の推定生息数65万頭に比し、令和元年は67万頭と増加しているが、農林業被害は減っている。捕獲数が減っているにも係わらずである。以下は、その因果関係について道庁エゾシカ対策係に問い合わせた回答である。
1.推定生息数増加の原因について
捕獲数の減少が原因として挙げられる。 個体数の抑制には仔を産むメスの捕獲が重要だが、H30-R1にかけて捕獲数が大きく減少しており、とりわけメスの捕獲数が大きく減少している。
結果として多くのメスが春先まで生存し、多くの仔が産まれることになったものと考えられる。
また、捕獲数減少の原因としては、H30.11月に発生した狩猟死亡事故の影響がある。H30狩猟期後半~R1狩猟期にかけて国有林・道有林への入林規制が強化され、このことが狩猟での出猟回数の減少、捕獲数の減少に繋がったと考えられる。
更に、R1は積雪が非常に少ない年であったため、笹が雪に埋もれることなく、餌の環境が良かったことも挙げられる。 餓死の可能性が低くなることと、通常は限られたエリアに集中するエゾシカが広い地域に分散することで捕獲が難しくなったことなどが考えられる。
2.推定生息数の増、被害の減、捕獲の減について
推定生息数の増と捕獲数の減については、1で記載したとおり。
被害の減については、農林水産省の交付金により侵入防止柵の設置や維持補修が進み、農作物の被害防止の効果が現れたと考えられる。
被害額は39億円と未だ高水準にあることから、北海道としては捕獲数の増加を図り、エゾシカの生息数を抑制する必要があると考えている。