9月13日。北海道エゾシカ倶楽部では、橋本信夫氏(北海道大学名誉教授 獣医師)より、「動物・ヒト複合社会の問題点」人獣共通感染症についての講演をいただいた。講演は3時間に及んだ。熱い講義の一部のみ、お伝えする。
エゾシカはじめ野外動物などを介した生物災害や生態系保全などは、今後の大事な問題である。感染症が人類の脅威となったのは、農業や牧畜の発明により定住化し、過密な集落が発達し、ヒトと家畜が密接に暮らすようになってから。農地や居住地造成のために森林が開墾され、食肉の大量生産が始まり、家畜の病気が人間に飛び移る。
ヒトと野生動物の境界が曖昧になった。ペットブームで飼い主も動物の病原体にさらされる。媒介蚊の怖ろしさ→日本脳炎→豚・馬。
競馬馬の大量死は馬主にとって大打撃。ブタは毛が無いので蚊に刺されやすいため、寄生虫などに感染しやすく、豚肉を食べた人を死に追いやる可能性がある。イスラム教による豚肉の禁止は人間が生存するための生きる術でもあったろう。
野生のエゾシカ肉の食用化については、解体処理及び食肉処理工程の徹底した衛生管理が行われている限りは安全である。
ヒトと病原体との闘いは未来永劫に続く。地球環境の変化もあり、多種多様な病原菌が人間の世界に発現してくる時代に入ってきた。数千種の感染症、対応できるワクチンは50も無い。不老長寿のための投資をすべきだ。
ヘラクレイトスの箴言
「健康でなければ智慧は浮かばず。文化は輝かず。兵は戦わず。富は無用となり、知識は役立たない」。
健康は幸福感の根源である。