斜里消費者協会を訪れた。流石はエゾシカの本場。農林被害も甚大で3mの電気柵で畑を囲い彼らの接近を防いでいるそうだ。エゾシカが大群で雪山を登っていく姿も見られるという。時間の都合で見に行くことはできなかったが、冷凍したエゾシカのミートボールを頂いてきた。ニンニクや生姜が入っているので、カレーにでもスープにでも使えるとのこと。これは、斜里消費者協会のイベントでシカ肉料理を町民に提供した際に残ったもの。臭い、硬い、汚いと昔ながらの3K食品のイメージが強く、この町では余り好まれてはいない様子。ナントまあ!贅沢なことでしょう!シカ肉食べたいけど、何処へ行けば買えるの?と我がエゾシカ倶楽部には度々問い合わせが来るほどですのよ…。栄養は満点だし、牛肉より高価。地元の方々には、余りに身近過ぎて、この宝物の真価がわからないということかもしれませんね。
一方で、農水省の調査で2017年度のシカやイノシシなどのジビエの利用量が1629トンと16年度比で27%増えたことが分かったという(12.17北海道新聞朝刊)。後日用記録として、同紙記事を引用しておく。次の通り。「17年度に利用されたジビエの用途を見ると、食用が16年度比12.9%増の1146トン、ペットフードが約2.5倍の373トン、自家消費などのその他が6.8減の110トン。食用の内訳はシカが22.4%増の814トン、イノシシは5.5%減の324トンだった。都道府県別の利用量はエゾシカの多い北海道が769トンで、兵庫県の122トン、長野県の73トンが続いた。17年度中に稼働した加工施設は約30か所増え、590か所となった。」
ちなみに、優等生北海道は平成27年12月に、認証制度を創設。認証を受けた加工施設で生産されるエゾシカ肉及びその肉を使用した加工品には、ロゴマークを表示できるとした。2018年12月現在、認証されている施設は14箇所。
臭い、固いは昔の話。衛生的に処理されたシカ肉は美味しいのです。とはいっても、一度浸み込んだイメージを払拭するのは大変な事。初対面の印象を重視する「メラビアンの法則」は人間とシカ肉の出会いにも機能するのかしら。
付記(2018.12.26)
斜里町の産業は、農業、林業、漁業。鮭の水揚げ量は日本一を誇る。しかし、ここでも人口減は進む。頂いた資料によれば、H28度の人口数11794人だったものが、H29年度は11672人。122人減っている。馬場隆町長は、将来、おひとり様が増えることへの備えとして、行政が動かなければとも語られた。訪問診療できる医師は5人。何処の町も高齢化していく中で、対処法への悩みは尽きない。第一次産業最前線にあるこの町には、もう一つ、TTP発効への不安もあった。農業ばかりではない、世界に誇る健康保険制度などへの影響を無視できないからである。高齢化で人口減の状況の中、急ぎ足で進む時代の変化に適切な対応ができるのだろうか。都会に住む私たちにも他人事ではない筈だ。