美味しかったァ!薬膳水餃子


6月24日は、「薬膳料理を食べよう〜ぶっつけ本番!!鹿肉の水餃子」に参加しました。 


エゾシカ肉をミンチにしてもらった写真
エゾシカ肉をミンチにしてもらった

事前準備の役割では、私は「エゾシカ肉のミンチ」の調達係です。札幌のお店で購入すると高額だというので、ネットで調べたところ、鷹栖町に鹿の解体工場を持つ、鹿肉専門店があると判明! 

早速、」下見にいき、素晴らしい品揃えに驚きました。鹿肉のハンバーグなどのメニューで、レストランも併設されています。犬用の鹿肉や鹿肉のおやつも販売しており、ドッグカフェも完備です。 

2回目の訪問で、ミンチの予約をし、前日の3回目でお肉を購入。その度に、店頭販売されているソフトクリームを買ってしまい…ああ、3つも食べてしまった…カモシカのような体型からますます遠ざかってしまう私…。鹿バラ肉 1kg1,728円を2kg購入。ミンチ加工代をくわえ、計4082円。


いざ、本番!!

講義中の堀田先生の写真
講義中の堀田先生

北海道医療大学 薬学部准教授 堀田 清 先生の講演からスタートです。 

餃子にいれるために先生がお持ちくださったトウキについて学びました。トウキは、当帰(とうき)芍薬散(しゃくやくさん)という名前で、古くからその効き目が知られている漢方薬です。トウキは、険しい崖のような場所にしか生育しておらず、崩落防止のための工事によって、どんどん生育場所が減っているそうです。「自然を破壊して人間の命だけを守る公共事業はそろそろ考え直しませんか?」という先生の問いかけが心に響きます。「人間の命も守りつつ、自然を壊さない方法を考える。北海道は自然を大切にしてこそ、ほかの地域との差別化を図れるのでは?

薬草が自生できる環境を守り、自然からいただく貴重な資源を送り出すことは、北海道ならではの産業になるのではないか」など、先生のお話をききながら、素人の私なりに、いろいろ考えることができました。また、博学な先生がお話しされた、漢方薬で有名なトウキの「当帰」という名前の由来や効用に大笑いしました。浮気をした夫が当帰を食べてふくよかになった妻のもとに帰ってきたという話。だから、当に(まさに)帰るなのです。(トウキは婦人薬の「実母散」に入っています)


堀田先生撮影 先生からの差し入れトウキ
堀田先生撮影 先生からの差し入れトウキ
トカチトウキ(セリ科)
トカチトウキ(セリ科)


一方、エゾシカのこと

堀田先生資料写真
堀田先生資料より

先生は、増えすぎたエゾシカが飢えていることに危惧をいだいておいでです。「狼が絶滅したこと、森林伐採によって生育場所が増えたこと、地球温暖化で子鹿の死亡率が減ったことなどが、エゾシカ増加の要因だと考えられますが、いずれにせよ、原因は人間にある。飢えたエゾシカの増加を防ぐ手立てはただ1つ、「食べること!(笑い)」の先生のお話は明快で説得力があります。薬学を専門とする先生は薬草に造詣が深く、薬草の生育地を調査したり、タネを取り種の保存を試みたりなさっています。しかし、実は鹿も優秀な薬草学者です。その証拠に、適正数を越した鹿の群生地には、薬草はことごとく食べ尽くされ、後には、毒性のある植物しか残されていないそうです。薬草が自生する環境を公共工事で破壊しないこと、増えすぎた鹿を減少させることが、貴重な薬草の生育を守る手段だと改めて感じました。


いよいよ調理

キャベツ、青ネギ、生姜、ニンニク、トウキをみじん切りにして、鹿肉ミンチと混ぜ練って、餃子のタネの出来上がりです。

それを餃子の皮で包みます。レシピなしにもかかわらず、そこはソレ、主婦歴の長い方も、調理に不慣れな男性もそれぞれに頑張って、あっという間にギョーザが完成しました。

それを茹でている間に、栄養を考えて、特別栽培米に、とうもろこしや枝豆、さつまいもを加えたご飯が炊きあがります。残ったタネを丸めて作った肉団子に、もやしをたっぷり入れたスープも完成しました。 

エゾシカ倶楽部の仲間が、自宅でこしらえてきた特性餃子のたれにつけていただきました。

私個人としては、普段作る、豚肉のギョーザよりもクセがなく食感が軽く感じました。美味しかったことはまちがいありません!




堀田先生の著書「植物エネルギー」
堀田先生の著書「植物エネルギー」

調理実習にまでノリノリで参加下さった堀田先生は、早くも来年の開催を提案してくださり、

参加者一同から拍手がわきました。

エゾシカを考える…

薬草に繋がる…

公共工事に繋がる…

地球環境すべてに繋がる…

大きな問題にまで想いを馳せながら、自然の恵みが詰まった餃子をお腹いっぱいいただきました。たった一食のお食事を、これほど深く考えながら、作り、いただいたのは生まれて初めての経験でした。

来年も開催できましたら、ぜひ、みなさん、ご参加下さい。   (森 裕子:記)