時事講座「 エゾシカ問題の最新事情を学ぶ」開催


例年「時事講座」のテーマを決めるのは頭を悩ますが、今年度は、エゾシカ問題がすんなり決まった。エゾシカによる食害や駆除、エゾシカ肉の有効利用など道民の関心を呼んでいるからだ。さらに、エゾシカ問題は駆除・有効利用に止まらず、生物多様性や生物共存などを考える上で、生きた教科書ともなっている。     


エゾシカ対策課の福田氏を迎えエゾシカ問題について懇談の写真
エゾシカ対策課の福田氏を迎えエゾシカ問題について懇談会

そんなわけで、「エゾシカ問題の最新事情を学ぶ」テーマで、10月5日(木)札幌エルプラザにおいて開催にこぎ着けた。当日は、一般市民を中心に20名を超える参加者があった。講師は、北海道エゾシカ対策課の福田氏。前半は、資料に基づきエゾシカの生態や被害状況、被害に対する対応策としての「個体数の管理(捕獲)」などについて分かりやすい説明があった。

 

一例では、エゾシカの推定生息数は、ピーク時の平成23年には約68万頭に上ったが、昨年時点では約45万頭と、3割以上減少し捕獲の成果が出ているとのこと。


後半は、今北海道が力を入れている、「エゾシカ有効活用の促進策」について説明があった。

①安全・安心なエゾシカ肉の流通

②地元食材としての定着

③エゾシカ革・角の利用の3本柱となっている。            

一つ目の「安全・安心なエゾシカ肉の流通」では、現在、捕獲頭数の約2割しか、一般販売向けの食肉処理が行われていないことから、その向上が喫緊の課題。具体的には、認証食肉処理施設(道内は11施設に止まる)の拡大と捕獲場所から食肉処理施設までのスピーディな運搬がポイントとのこと。

二つ目の「地元食材としての定着」では、エゾシカ肉の優位性(高たんぱく、低カロリー、鉄分豊富)のPRや、大手スーパーでの販売促進が不可欠。  現在、コープさっぽろやイオン北海道などで販売しているが、引き続き取り扱い店舗の拡大に取り組みたい。


 参加者から、「本腰を入れて、認証食肉処理施設を増やすべき」などの意見が出されました。今回の学習会で確認できたことは①エゾシカの生息数はここ数年減少傾向。それに伴い、農林業被害も減っているなど一定の成果が出ていること。②捕獲したエゾシカ肉の活用率(食肉処理率)は、まだまだ低く、活用の拡大が急務であること。③私たち消費者の購買行動も重要であること。毎月第4火曜日は「シカの日」。可能な範囲で、エゾシカ肉を食卓にのせる必要があると感じた。。                                                  (時事講座担当理事  星野武治)