「何処で、誰によって、どう作られた商品か?」エシカル消費で社会を動かそう!


1月14日の北海道新聞(札幌圏)で、「エゾシカ肉、食べてますか」というモニター調査結果が報じられた。それによると「食べたいが機会がない」が最多の44%、「食べたいと思わない」が38%、「たまに食べている」は18%で、「よく食べている」は皆無だという。中でも、「食べたいと思わない」という回答が女性に多く、「クセがある」「臭みが気になる」「気持ち悪い」等の他、「豚肉や鶏肉より高い」という答えもあった。


エゾシカから森を守るため、撃たれたシカの供養のため、当倶楽部を立ち上げてまもなく5年。Hokkaido Venison Promoting Club と銘打って、シカ肉消費を一般市民に呼び掛けてきたが、この運動も道半ばであることを痛感する。


消費者団体である当倶楽部としては、「消費者基本計画」に盛り込まれている「エシカル消費」を提唱したい。私たちが買い物をする際の基準にするのは⓵品質 ② 価格 ③安全性の3つだが、これにもう一つ、エシカル(倫理・道徳)という側面を加えたものだ。


意図するところは、商品を選ぶ際、価格や品質だけでなく、その商品が「何処で」「誰によって」「どう作られたのか」等、商品の背景(生産、流通、取引の過程など)にまで、思いを巡らしての消費行動を促すものである。

世界では、貧困問題、人権問題、気候変動、エネルギー問題、資源の枯渇など、深刻な問題が山積しているが、これを消費者の意識変革で解決していこうという国を挙げての壮大な取り組みだ。従来、消費者は事業者に比べ、経済力に劣るうえ、情報の質・量、交渉力に於いて圧倒的な格差があり、弱者として扱われてきた。 


しかし、エシカル消費に心を配る消費者(エシカルコンシューマー)が数多く育てば、彼らの消費行動が世の中を変えずにはいない。消費者の力は決して小さいものではないからだ。日本のGDPのうち、個人消費が占める割合はナント6割 もある。消費者に選ばれない商品や企業は淘汰されていくだろう。社会の発展と改善に消費者が積極的に参加する社会を「消費者市民社会」と呼ぶ。エシカルコンシューマーこそが社会を動かす主役なのである。


さて、どうすることがエシカル消費になるのか。これといった正解はなく、場所と時代と社会によって決まるようだ。奨励されている基準としては、環境や被災地の復興、途上国支援、地産地消など社会的課題に配慮した商品の選択。北海道に住む私たちとしては、シカ肉を購入し、食べる消費者こそ、まさにエシカルコンシューマーといえそうである。地産地消でフードマイレージゼロ。そのうえ北海道の緑を守り、農業被害を防ぎ、環境保全に一役買うことに繋がるからである。