クマさん 怖い! 今朝の北海道新聞から  


今朝の北海道新聞一面を見て驚いた。車にクマが前足をかけている写真。フルカラーだから迫力がある。見出しは「クマとの距離 知床苦慮 車にのしかかる」…だ。とうとう此処まできたかと妙に納得する自分に驚く。先日お会いした(一社)オオカミ協会 石川理事の言葉がよみがえる。「野生動物との共生はあり得ない」というそのものズバリの一言。 


動物たちはそれぞれに、植物たちもそれぞれに、そして人間も彼らと同じ生態系の一員として、互いせめぎ合いながら、この地球上で暮らしている。闘いは生物たちの宿命。仲間を増やし、味方を増やし、生存の場を広げていく。最近読んだ生態系の本の中で「山が攻めてくる」という言葉に出会った。農家の方がよく口にするという。畑の手入れを怠れば、すぐに雑草が生え、あっという間に小さな木に育ち、やがて林に変身していくという。これが野生の本性。高山に咲く可憐な花も人間を楽しませるために咲いているわけではない。すべては「種」の保存のため。沢山あった花がシカに食われてしまえば、その花の陰でひっそりと息づいていた別の花が忽ち勢力を広げて咲き誇っていくという。厳しい陣取り競争がこんなところにもある。


さて、食うか食われるかの世界で人間と他の生物たちが軋轢なく生きていくには、時間的、空間的に棲み分ける必要がある。かつて動物たちは人間を警戒し、人間に近寄らなかった。彼らにとって人間は恐ろしい敵だったのである。人間も野生動物の怖さを知っていた。それが最近、双方ともに崩れてきたことは間違いない。


いま、私たちに必要なのは「野生動物は恐ろしい」という認識に立ち戻ることだろう。人馴れした野生動物ほど怖いものはないと聞く。どんなに人馴れしても野生の性分が失われることはありえない。

今朝の新聞によれば、道路脇にいたクマの親子を見物中、車を動かし約1メートルまでクマに近づいたのが原因のようだ。「クマを恐れない人」と「人を恐れないクマ」の存在が事故を引き起こしかねないと結んであった。