中国では養鹿産業が盛んだと聞く。この国ではシカは野生動物というよりもれっきとした産業動物(家畜)。大切に育てられ、高値で取引されているようだ。
北海道で大量に捕獲されながら未利用のまま、棄てられてきたエゾシカ達とは大違い。中国では、シカを食肉としてよりも、医薬品材料として重視。様々な医薬製品を生み出し、東南アジア等に輸出、大きな経済効果を上げているという。
そこで、実際にどんな薬効があるのか。薬学博士であり、北海道鹿美健株式会社代表の鄭権氏にそのあたりを伺ってみた。(鄭権氏の添削を受けて武田記録)
鹿茸(ロクジョウ)…4月末~7月頃の柔らかい角。
薬効が強い。
(※その後、鹿茸の芯から骨化していき、鹿茸といえ
なくなる)
鹿角(ロッカク)…9月頃までに、皮が剥がれて固い角になる。
備考:中国では、鹿を養殖しているので、ほぼ均一した品質管理ができ、毎年決まった時期に鹿茸を採集できます。エゾシカの場合は、野生で、しかも各地の気温や餌などの異なる環境下で、鹿茸の取れる時期もかなりバラツキがあり、おおよそしか言えない。
①鹿角膠(ロッカクキョウ)…「補薬」あるいは「補剤」
②鹿角霜(ロッカクソウ)
補薬(補剤)は、アンチエイジング機能=抗老化=不老長寿(不老=健康で若い&長寿)の効果が基本。
ついでに、滋養強壮も免疫力アップも、その個々のポイントになる。
① 強壮、強精作用、心機能活性、筋肉疲労回復作用、消化機能促進作用などが報告されている。
漢方では代表的な温補薬として、腎陽を補い、精血を益し、筋骨を強める効能があるとされ、
低血圧症、更年期障害、自律神経失調症にも用いられる。体力の衰弱や女性の貧血には当帰(トウキ)、地黄(ジオウ)、肉従蓉(ニクジュヨウ)等と配合する「鹿茸大補湯」がある。
②中国最古の薬書「神農本草経」には、「鹿茸は、一切の精力を生じせしめ、髄を補い、血を養い、筋骨を強め…」と様々な効能が書き連ねられている。その後も多くの漢方書にたびたび登場。中でも唐代に記された「千金方」には、強精作用の高い生薬の筆頭に挙げられている。
このように古くから効果が認められてきた鹿茸は、現代中国に脈脈と受け継がれてきた。
そして今なお、「不老不死の神薬」といわれ、最も注目される生薬の一つに君臨している。上質の鹿茸は年間採取量が極めて少ないことから、非常に貴重で高価な生薬となっている。このため、中国では、一昔前までは、ごく一部の特権階級しか口にすることができなかったそうである。
活血・・・血を行らす。
消腫・・・腫れを消す。
益腎・・・腎を益す。
強精強壮、筋力向上、寒気改善、消腫作用、頻尿改善、鎮痛作用、尿漏改善、血行改善、冷感改善、皮膚再生、止血作用、耳鳴改善、聴力改善、帯下(おりもの)改善、消炎作用などがある。
製 法・・・エゾシカの角を煎じてできた膠(にかわ)
【歴 史】
中国最古の医書「五十二病万」及び中国最古の本草書「神農本草経」に掲載されている。「神農本草経」には鹿角から製した鹿角膠は、「白膠」の名で、上品に分類される。
つまり、約2500年の薬用歴史があるということ。実際に、効能効果が無ければ、現代まで繋がっている筈がない。
「上品」・・・養命薬(生命を養う目的の薬)で、無毒で長期服用が可能。身体を軽く
し、元気を益し、不老長寿の作用がある。「日本薬学会HPより」
【鹿 角】・・・生で用いれば熱を散らし、血を行らせ、腫れを消し、邪を避ける。
【鹿角膠】・・・膠に煮詰めれば陽を益し(パワフル)、腎を補い、強精し、血を活
かし、督脈を通す用と命門を補う用にする。生命力を補う。
公益社団法人 札幌消費者協会「北海道エゾシカ倶楽部」 代表 武田佳世子
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