野生動物と地域社会の未来(2024.10.27)

~地域の知恵を生かし、持続可能な解決策を探る~


主催:札幌市円山動物園  市立札幌藻岩高等学校2年次   総合探求活動グループ ANIMAL CLOTHES


2024.10.27(日).札幌市円山動物園で上記タイトルのイベントが開催された。

ワークショップでの提案写真
ワークショップでの様々な提案

主催:札幌市円山動物園

   市立札幌藻岩高等学校2年次

    総合探求活動グループ ANIMAL CLOTHES

協力:札幌市環境局共生担当課

   酪農学園大学 環境共生学類教授 佐藤喜和さん

   公益社団法人 札幌消費者協会 北海道エゾシカ俱楽部

目的:人間と野生動物との共生における問題や現状、問題解決に向けて取り組ん 

   でいる活動・工夫について学び、新たな視点からの課題を見出し、現在起

   こっている問題だけではなく、これから予想される問題について、身近な

   事柄であると捉え、問題解決に向けて様々な活動に自主的に取り組む姿勢

   を育む。(配布資料原文のまま)



5人グループ4組でのワークショップ。募集人数はきっちり集まった。中には苫小牧から参加した高校生もいる。驚くべきエネルギー。当イベントは高校生自らが「エゾシカやヒグマの課題」について考え、実践可能な活動を提案するワークショップを企画、動物園に持ち込み実現したもの。若い熱気あふれる会場に当倶楽部も協力メンバーとしてお呼び頂いた。


酪農学園大学 佐藤喜和教授
酪農学園大学 佐藤喜和教授
北海道エゾシカ倶楽部 写真
北海道エゾシカ倶楽部


ヒグマの専門家である佐藤喜和教授は「山にクマがいる以上、問題は起きる」。クマの生態を知る。正しい知識を得ておく。人に追われたり、撃たれたりしたことのないクマが増え、人間を怖れなくなった。人とクマが住む地域を分けるゾーニングの重要性を強調。人里近郊の林では追い払い、人慣れした個体は駆除をするメリハリのある対策が必要。自然災害に備えがあるように、クマの出没場所をモニタリングして備えるなど、ヒグマの侵入リスクを考慮した街づくりが大切だ」と話された。 




当倶楽部のテーマは、「エゾシカ増加・いま何が起きているか」。R4年度のエゾシカの推定生息数72万頭。シカの適正密度は平均値で1平方キロあたり3~5頭。北海道の森林面積(554万㌶)に対する適正数は27~30万頭が限度。72万頭は明らかに過密。増えた要因は、オオカミの絶滅、地球温暖化、ハンターの減少・高齢化、耕作放棄地の増加などが考えられること。その結果、森の食害、農林業被害、交通事故が増加した現状を伝え、解決にはエゾシカの利活用(革、肉、角、骨)が有効であることを伝えた。


札幌市環境局共生担当課の瀬尾崇係長からは、市としてエゾシカやクマの市街地等への侵入調査などを実施していることが報告された。 




プレゼンを基調に各グループから鋭い質問、新鮮な取り組み案などが活発に発表された。情報を広く伝えるための策としてSNSで発信」「インフルエンサーが必要」「義務教育に取り入れる必要あり」「ジビエコンテストを行い、賞も出す」「国もこうした問題に力を入れて解決法を見出す必要がある」等々。

他者の意見を真剣に聴き、考え、討議する若者たち。この濃厚な情報空間を共有できたことに感謝する。