2014.6.14 於:道新ホール
北海道生物多様性保全活動連携センター、北海道新聞社、酪農学園大学が主催したフォーラム「北海道の生物多様性保全と野生生物管理」に参加した。酪農学園大学教授である吉田剛司氏のお話を中心に記憶に鮮明な部分をメモ書きした。(詳細は6.29北海道新聞掲載予定)
・北海道は生物多様性の宝庫。生物はそれぞれの役割を共存しつつ生きている。多様な主体のネットワークで自然は繋がっている。ところが、日々、人間が良かれと思ってやってきたことが、思わぬ結果を招き、生物の生息環境は、いま、危機に瀕している状態だ。
「生態系の崩れ」→問題点は3つ
❶身近になりすぎた野生生物(増えすぎた)→鳥獣被害をもたらす
❷外来生物(外国や他地域から持ち込まれた動物)→在来生物が駆逐されてしまう
➌減りすぎた野生生物(希少種。絶滅危惧種)→生息地の保全が急務となる
「生物多様性の危機」
第1の危機→開発・採取
第2の危機→人間活動の関与不足(狩猟者減少・里山減少)
第3の危機→外来種の攻勢→対策は駆除する以外に途なし。
ex:アライグマ。北海道にトノサマガエル増加(本州では准絶滅危惧種に指定。しかし、北海道では外来種であり、増えている)→胃の内容物から希少動物のゲンゴロウが出てきた→ゲンゴロウは絶滅寸前。絶滅種としては、とかく大きな生物ばかりが注目されるが、小さな希少種を忘れてはいけない。
※これらの危機は複雑に絡み合いながら生物多様性を破壊していく。
「エゾシカ問題」
エゾシカの増加は、生物多様性保全、生態系への影響が深刻。森林は国の復興の要である。ところが、シカの強い採食力が樹皮を食い荒らし、樹は倒れる。彼らが駆け抜け、踏みならした大地は草が生えにくくなる。こうして、下草も無くなるから土地の安定力・保水力も無くなる。私たちは美味しい水を飲めなくなるばかりか、強い雨で土砂崩れが起きる。いわばエゾシカ増加は日本の国土消失に繋がる大きな問題なのだ。
エゾシカは頭の良い動物。支笏湖畔で冬を越し、夏は札幌ドームの隣の林野や北広島のパークゴルフ場へ移動。まさか、そんな所で狩猟はできないから、シカにとっては安住の地だ。シカの狩猟は難しい。絶滅危惧種を守りながらの猟となるからだ。
「今後はクマ対策」
クマを撃つことは、シカを撃つより更に難しい。シカが増えたことでクマが増加。しかも市街地近くに定住している。減少している狩猟者を増やすことが急務だ。既に遅いが、兎に角、育成を始めなければならない。
北海道生物の多様性の保全等に関する条例(2013.3.25)
公益社団法人 札幌消費者協会「北海道エゾシカ倶楽部」 代表 武田佳世子
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