人口197万の札幌市。2023年5月。連日のようにヒグマの出没が報じられている。2021.6.19。東区で市民4人が負傷するという事件が起きた。ヒグマに襲われたら人間に勝ち目はない。倒すことなど不可能なのだ。事故を防ぐには、私たち人間がヒグマのことをよく知って、適切な対応をしていく以外にない。そもそも市街地出没の要因は人とヒグマの距離が近づいていることにある。そこで、市は、人とヒグマのすみ分けを強化する「さっぽろヒグマ基本計画2023」を策定、今年度から運用が始まった。当倶楽部では、札幌市環境局環境都市推進部環境共生担当課長 坂田一人氏を講師にオープン講座を開いた。(2013.4.23)
人間が襲われるケースもあるため、札幌市はウェブサイトでヒグマの出撃情報を公開し、注意を呼びかけている。特に市街地と森林の間に位置する「市街地周辺」を、緩衝帯として重要と位置づけた。ごみ出しルールの順守を呼び掛けるほか、農地や家庭菜園への電気柵の普及、クマが隠れやすい茂みの伐採を進めるなどして、市街地にクマが近づきにくい環境をつくる。出没時の対応としては、基本的に不要な捕獲はしないこととした。
ヒグマの生態についての基本的な知識に加えて、ヒグマと会った時にどうしたらよいか、また、ヒグマに会わないためにはどうしたらよいか(後者の方が大事)、そういったリスク回避のための基礎知識を市民に普及していきたい。
【体長】
オス:約2.0m
メス:約1.5m
【誕生】
ヒグマは、冬眠中(1月下旬~2月上旬)に穴の中で出産する。生まれたばかりの子グマは、とても小さく体重が400gほど。しかし、春に母グマと一緒に冬眠穴から出てくる頃には4~5kgまで育つ。
【体重】
オス:約150~400kg
メス:約100~200kg
【成長】
ヒグマの子育てはメスのみが行い、オスは子育てには一切参加しない。子グマは親離れする1歳半~2歳半までの間に、生きる術を母グマから学ぶ。
【親離れ】
成長した子グマは、1歳半または2歳半の夏頃に、母グマから離れて独り立ちする。
【繁殖】
ヒグマは、3~5歳頃から繁殖が可能になる。5~7月の繁殖期、オスは行動範囲を広げて山林を動き回り、複数のメスと交尾する。子グマを連れたメスは繁殖に参加しないので、メスと交尾するために、オスが子グマを殺してしまうことがある。そのため、この時期の子連れのメスは、オスの動き回る山林を避けて市街地付近に出没することがある。
【寿命】
ヒグマの寿命は20~30年程度と言われている。野生の捕獲個体での最長寿記録は34歳。
・3~5月:冬眠あけ
冬眠から目を覚ましたヒグマが穴から出てくる。オス、子のいないメス、子グマを産んだメスの順番で出てくるといわれている。
札幌市内の山や森にヒグマは生息しています。ヒグマの生態・習性をよく知ることで、事故を防ぐことができます。
ヒグマは、個体ごとにそれぞれの行動圏(行動範囲)が決まっている。行動圏の広さは、オスが数百㎢、メスが数十㎢と、オスの方がメスよりも広いことが分かっている。オスは、繁殖のためにメスを探して歩き回るため、行動圏が広くなる。行動圏の広さは、地域や餌資源の量によっても変わり、餌資源が多い地域では、行動圏は狭くなる。また、ヒグマには、「なわばり」はなく、行動圏も他の個体と重複している。1990年、「春グマ駆除」が廃止されて以降、ヒグマの数は増加。ヒグマが人間を恐れずに、むしろその存在を気にしなくなっている。世代を経るうちに人を恐れなくなった、いわゆる“新世代グマ”が増えた。その背景には、ハンターの高齢化と減少という社会的な問題がある。(お勧めパンフレット:「人は街で、ヒグマは森で」より)
・野山・山林に入る時は音を出しながら歩く
・入山するときは、クマ撃退スプレーや鈴、
ホイッスルなどを携帯する
・ヒグマの分や足跡などを見つけたら引返す
・食べ物のごみは捨てずに持ち帰る
・生ごみを野外に放置しない
・夜間にゴミステーションに出さない
・一度、味を覚えると繰り返し出没する
・大声を出さない・走って逃げない・石を
投げたりしない
・ヒグマの移動する方向を見定めながら、
静かに立ち去る
・背中を向けて走ってはダメ。本能的に追
いかけてくる
・子グマがいれば近くに母グマがいるので、
近づかずに立ち去る
札幌市パンフ「ヒグマのこと知ってますか」より。
3年前に頂いた解体現場の秘蔵写真。ここで使います。
「ヒグマのフンの中身はすべて、エゾシカの毛」(苫前町 林豊行氏)
公益社団法人 札幌消費者協会「北海道エゾシカ倶楽部」 代表 武田佳世子
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