9月25日金曜日から2 泊3日の日程でエゾシカモニターツアーに参加しました。
このモニターツアーは、最近北海道の大きな環境問題となっているエゾシカ問題をテーマとして開催されたもので、主催者である北海道宗谷振興局が、札幌で旅行サイト「ぐうたび北海道」を運営する「北海道バリュースコープ㈱」に旅程の委託をしたものです。
ツアーの内容は、参加者に街中まで出没しているエゾシカによる被害実情を現地で見てもらい、この増え過ぎたエゾシカを北海道の観光資源として活用している取組事例の紹介を行い、最後にツアーで感じ取った事を、参加者である有識者や各方面から訪れた観光客など複数の視点からの感想や意見交換を行い、今後のエゾシカ問題や新たな有効活用策に役立てようとするものです。
参加者は15名で、旅行業、料理研究の専門家、また東京など道外からはるばる稚内市を訪れた参加者も多く、本州でも食を含めたエゾシカへの関心が高さを知ることができました。
初日は午後に稚内駅で集合後、貸切バスにより駅を出発したのですが、それから間もなくシカ肉を扱う店に寄り、エゾシカ肉のフランクフルトの試食しました。原野に入ると間もなく野生のエゾシカの群れを早速見ることができ、感動の声がバスに広がっていました。エゾシカ肉のソーセージを食べて、サロベツ原野の中をネーチャーガイドの説明を聞きながら歩いて、手つかずの自然のなかで生きる動植物とその生態系を脅かしつつあるエゾシカによる被害を実感しました。
旅館で夕食として食した鹿肉のすき焼きは、臭みなどの癖が無く参加者からの感想も上々でした。また鹿肉を始めて食べたという首都圏からの参加者からは、鹿肉に対する先入観がないため、すんなりと受け入れてくれたようです。
遠くから訪れた旅行客にとって、このような旅館で鹿肉を出すことで、地域性溢れる郷土感や、また秋の時期に特に美味しい鹿肉は季節感も出て旅館のアピールにもなったと思います。
2日目は、エゾシカの角を加工してアクセサリーの作成にトライ!!
鹿の角は、木材より固く加工がしやすい素材で、参加者は2時間の悪戦苦闘のなか、鹿角が持つ独特な形と色のコントラストを生かした民族的なデザイン風の首飾りの製作を楽しみました。また、地元新聞社の取材があり翌日の朝刊にも掲載されたことも、自作のアクセサリーと併せて記念としていい思い出作りとなりました。 そしてこの日の夜は、今回のモニターツアーのハイライトでもある、地元で獲れたエゾシカ肉を使ったジビエ料理のディナーでした。
まずはこのような機会を与えてくださった主催者に感謝の一言です。
料理の内容に関してですが、素人の私が食べてみてもジビエ料理の神髄を感じ取ることができました。
その裏には、料理長のこの料理に対する深い造詣と創意工夫があったことがこの料理に表現されており、また料理長の食事前の挨拶の言葉からも、シカ肉料理に対する絶え間ない努力の跡が見取れました。
また晩餐中には、アイヌ文化に造詣が深い宗谷振興局の福祉長によるムックリ(アイヌの古典楽器)の演奏などのパフォーマンスもあって、参加者に楽しい時間にさらに潤いを与えてくれました。
このツアーで感じたこととしては、
・稚内では既に住宅街にエゾシカが発生していることがわかり、今まで札幌に住んでいて、エゾシカの有効活用について携わっている身としては、衝撃的だった。また、この宗谷地方では爆発的にエゾシカが増加しているということを身をもって体験できた。
・エゾシカのソーセージを試食してみたが、出店で売られているものと全く遜色がなく、味付けなどが巧みであり文句なしの美味さだと感じた。・地元民にとってエゾシカ肉は、昔の食肉の処理加工などが悪いため肉に血が混じっていて、生臭くて不味いというイメージが残っている。
加工と衛生処理が適切にされた美味しいエゾシカ肉をできるだけ多くの地元住民に食べてもらい、不味いというイメージが払しょくできたら、地元発信の観光資源としてエゾシカ肉を自信をもってアピールする機運が盛り上がるのでは と思いました。
公益社団法人 札幌消費者協会「北海道エゾシカ倶楽部」 代表 武田佳世子
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