◆◇◆第5回エゾシカフェスタ2017 in 札幌(2017.10.29)


 

 

 

 

 

 

 

 

写真はエゾシカ(もも肉)のロースト。昼食時に提供。

 

 

増え続けるエゾシカの有効活用を考えるフォーラム「エゾシカフェスタ IN 札幌」(主催:社)北海道消費者協会、社)札幌消費者協会、エゾシカ共和国)が10月29日(日)に開催され、当クラブ会員も多数参加し、運営のお手伝いをさせていただきました。

当ページでは、当フェスタの模様をお伝えします。 

 

・日時:2017年10月29日(日) 10時00分~14時00分

・場所:TKPガーデンシティ アパホテル札幌(札幌市中央区南2条西7丁目)

・訪問者:120人程度


 ・内容

1 縄文太鼓の演奏

 オープニングセレモニーは、縄文太鼓演奏家「石田 しろ」さん等による、「縄文太鼓」の演奏会からスタート。

縄文式土器の本体に鹿の皮を貼って作った太鼓の勇壮な響きを堪能しました。

縄文時代には、この楽器が実際に使用されていたと想定されているそうです。

 「縄文太鼓」を通して、縄文人のDNAを語り継ぎたいとのことでした。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エゾシカへのオマージュを込め、シカの皮を使った縄文太鼓で演奏する石田氏ら

 

 

なお、西アフリカの民族楽器である「ジャンベ」の演奏も披露していただきました。

ヤギの皮を陶器に貼って作った当楽器は、同じような響きがしました。

自然と共生している暮らしの中で培われた「縄文太鼓」と「ジャンベ」の調べは、我々が忘れてはいけないものだと思いました。


2 基調講演「エゾシカと共存する社会の姿」

 ニュージーランドで養鹿事業を営む「石川 信雄」さんの基調講演を拝聴しました。

 ニュージーランドにはもともと鹿はいなかったそうですが、宗主国である英国から導入され、現在84万頭飼育され、豚(26万頭)の3倍程度飼育され、食肉、皮、角の利用の他、ハンティング(レジャー)としても活用されているそうです。

 同氏によると、北海道では鹿の狩猟を中心に行ってきたが、そろそろ養鹿というビジネスを行う時期にきているし、世界の市場を見ながら発展していけば、もともと優秀な日本人が働く北海道には十分チャンスがあるとのことでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

養鹿の提言を熱く語る 石川氏 スライドには、同氏経営の養鹿場が写しだされている 

 


3 研究発表「エゾシカを題材とした実践報告」

 藤女子高生(OG含む)がエゾシカに係る授業を通じて学んだことをもとに、紙芝居の作成及びスマホケースや小銭入れ等の作成に関する報告がありました。

 

 

 

 

 

 

 

 

エゾシカを主役にした紙芝居「北の森のいのち」。

札幌市電子図書館に所蔵され、インターネットを通して貸出可能

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スマホケース等鹿革の利用の実践を報告


4 昼食(エゾシカ料理の提供)

 研究発表終了後以下の料理がふるまわれました。

・鹿肉のロースト

・鹿肉の香草焼き

・鹿肉と秋野菜のスープ

・その他(ライス、デザート等)

西興部村養鹿研究会から鹿のもも肉(シンタマ)を60キログラム提供していただきました。

いずれの鹿肉料理も柔らかく十分おいしいものでありました。

 

 

 

 

 

 

 

 

鹿のロースト。口に含むと、牛肉以上の柔らかさとともに、赤身の旨みが口中に広がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

鹿肉の香草焼き。カツの軽快な歯ざわりと肉の柔らかさが絶妙なハーモニー

 

 

 

 

 

 

 

 

奥に見えるのが、鹿肉と秋野菜のスープ。中華風の味わいで、鹿肉料理の可能性の広さを感じた。


5 パネルディスカッション

 下記の人たちによるパネルディスカッションが行われました。

・コーディネーター 石川信雄氏(当フェスタの基調講講師)

・パネリスト 

 谷  一之 氏(下川町町長)

 中原 真一 氏(西興部村養鹿研究会会長)

 菊地 隆  氏(エゾプロダクト代表取締役)

 黒田 尚子 氏(北海道生活部環境局エゾシカ対策課主幹)

 吉田 省子 氏(公社)札幌消費者協会 北海道エゾシカ倶楽部)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

手前から順に、石川氏、谷氏、中原氏、菊地氏、黒田氏、吉田氏

 

循環型森林経営の理念のもと鹿駆除に取り組む下川町、肉の加工施設・内臓等の残骸施設・ハンティング施設等幅く鹿に関わる西興部町、シカ皮製品で世界へ製品を提供するエゾプロダクト、様々な制度の制定、マニュアルの作成等をとおして、鹿の駆除の支援を行う北海道生物多様性のために鹿の駆除、鹿の利用を市民に啓蒙しているエゾシカ倶楽部これらの団体の現状及び問題点や今後についてそれぞれ発表がありました。

 

鹿駆除をしても処理施設が足りず西興部等との連携が必要(下川町)、駆除をしてその皮を利用するは専門的な技術と環境負荷軽減を考慮した施設が必要であり、皮革業界との親密な連携からなる継承を前提としたスキームが必要である(エゾプロダクト)、等といった問題点が述べられました。

しかし、吉田氏(エゾシカ倶楽部)から、「それぞれの取り組みが完全につながっていない。連携をとればもっと効果が出るはず。エゾシカ倶楽部がカナメとなって連携できるのでは」との提言があり、今後の飛躍も感じさせられました。


6 その他(鹿製品の販売)

当会場では、鹿製品の販売も行なわれました。

 

 

 

 

 

 

 

 

財布、バック等。鹿製品は手触りがなめらか。

 


※最後に

当倶楽部では、今後も消費者の立場からエゾシカや生物多様性について情報発信をしたいと思っています。

                                           (畠田 徹)